こんばんわ
萌えログ管理人のらすくです。
中編、後編では異世界モノの作品の歴史について振り返ろうと思いますが、作品数も多いので中編では昭和時代辺りまでを紹介しようと思います。
超忙しい人向けの3行記事
- 初の異世界モノの作品は「転移」
- 1979年に初の「召喚」の作品登場
- 1989年に初の「転生」の作品登場
さて、またいつものようにどこまで遡ろうかと悩んだのですが、今回は徹底的に遡りましたよ。
もうそれこそ神話レベルまで遡ってみました。
元祖は神話?
異世界モノの元祖は西暦712~720年頃の日本書紀にも記されている日本神話に登場するイザナギ、イザナミの物語かと思います。
ざっくり物語を説明するとイザナミが火の神である「火之迦具土神」を産んだため陰部に火傷を負い亡くなってしまうのですが、イザナギがどうしてもイザナミに逢いたい気持ちが捨てきれず黄泉国に逢いに行くのです。
迎えに来た夫のためにも自分も帰りたいと思いイザナミは黄泉津神たちと話し合うのですが、その間覗いてはならないという約束をしていたものの、夫は待ちきれず覗いてしまい、衝撃的な現場を目撃しイザナギが逃げ出してしまうというものですね。
やや曖昧な表現でぼかした書き方をしたので、もし詳細を知りたい人は別途お調べください。
まぁ何にしてもこういう神話系って往々にしてドロドロしてますよねぇ・・・
という訳で元祖は日本書紀に出てくるイザナギの物語で、「転移」が最初のようですね。
その他にもスクナビコナやタヂマモリ、浦嶋子(浦島太郎)などもあるかと思いますが、いずれも「転移」になりますね。
鎌倉時代~江戸時代(1336年~1868年)
この頃の異世界モノと言えば、「御伽草子(室町物語)」では無いでしょうか。
「室町時代物語」「室町時代草子」などと呼称されることもありますが、一般的には「御伽草子」と言う名前で呼ばれていますね。
いくつかある物語の中で「おむすびころりん」は誰しも知っているのでは無いでしょうか。
こちらはおじいさんがおむすびを誤って穴の中に落としてしまい、中にいる白いネズミからおにぎりのお礼として大きいつづらと小さいつづらを選んでもらい、おじいさんは小さいつづらを選んだら財宝が入っていたというやつですね。
それを聞きつけた欲深い隣のおじいさんが、無理やりおにぎりを穴に入れて、おむすびのお礼として大きいつづらと小さいつづら両方よこせと猫の鳴き真似で脅したけど、ネズミに噛まれて降参し、それに懲りて欲張らなくなった物語ですね。
これだけ見ると異世界?と思うかもしれませんが、こちらは色々バリエーションがありまして、中にはネズミが浄土の明かりを消してしまったため、おじいさんの行方が知れなくなった話も存在しているのですよね。
そして1822年(文政5年)には仙境異聞では、少年寅吉が杉山僧正に伴われて、常陸国の岩間山で修行し幽冥界に行き、外国も廻り、呪術を操って江戸で評判になった話もありましたね。
別名として「寅吉物語」とも呼ばれていましたね。
こちらはまさに「転移」の物語になります。
明治時代(1868年~1912年)
1910年(明治43年)に柳田国男が岩手県遠野地方に伝わる逸話、伝承を記した「遠野物語」を発表しましたね。
内容は大変多岐に渡り、天狗、河童、座敷童子などの妖怪に纏わるものから、山人、マヨヒガ、神隠し、臨死体験など祀られる神とそれを奉る行事や風習などがあります。
私はあまり本を読まない人なので詳細はあまり知らないですが、「遠野物語」が描く世界はほとんどが不思議もしくは怪異と評されるものが中心かと思います。
昭和時代
初めての「召喚」作品登場
1979年に「異世界の勇士」という作品が登場します。
これはまさに異世界ファンタジーの先駆けとなった小説となります。
テーマは異世界召喚にありがちな普通な高校生が突如異世界に召喚され、魔王を倒すというものです。
主人公の性格は今風ではなく、硬派な青年で、女性に思わず罵倒してしまったり、昭和を象徴するような不器用な男性だったようですね。
異世界物語ですが一切魔法は使わない設定は新鮮だったようですね。
異世界モノの先駆け時代(1980年~1989年)
この時期になると小説、ゲームで徐々に異世界への「転移」や「召喚」といった作品が徐々に登場し始めます。
扉を開けて
1981年に「奇想天外」という盛光社からSF雑誌にて6月号から、新井素子氏によるファンタジー小説である、「扉を開けて」が掲載されましたね。
こちらはアニメ映画化、漫画化、1987年にはパソコンゲームも発売されましたね。
物語としては、根岸美弥子と友人の斉木杳は超能力を持った大学生であり、同級生の山岸桂一郎が超能力者かもしれないと、ある満月の夜の13日の金曜日に待ち合わせたところ、3人そろって時空の歪みに吸い込まれてしまう物語ですね。
1983年~1985年
そして1983年には「転移」作品として「シンデレラ迷宮」、1984年には「召喚」作品として「リーンの扉」、1985年には「召喚」作品として「幻夢戦記レダ」と年に1本は異世界モノの作品が世に出るようになり、徐々に認知されるようになったかと思います。
ビキニアーマーと言えば「幻夢戦記レダ」ですね。
本作品は当時の日本のアニメとしては珍しいヒロイック・ファンタジーとなっており、OVA作品は3万本以上売ったヒット作品となります。
シナリオは17歳の女子高校生の朝霧陽子は、一途に憧れている男子に想いを告げられずに居て、自らの想いを込めたピアノ曲を完成させ、カセットテープに録音しヘッドホンステレオで聞きながら、いつもすれ違うだけだった並木道で彼に声を掛けようとするが、結局声を掛けられずにすれ違い、次の瞬間突然異様な空間に飛ばされてしまうお話ですね。
そこから先はその異世界で自身が世界を救う「レダの戦士」であると告げられるというストーリーに繋がっていきます。
1986年~1989年に初の「転生」作品登場
この時期になると年に2~3本ペースで異世界モノの作品が登場するようになります。
1986年には「デジタル・デビル・ストーリー」「クレヨン王国」「オーラバトラー戦記」が発売され、1987年には「高橋名人の冒険島 ティナを救い出せ!」「アリスシリーズ」が発売されましたね。
高橋名人の冒険島はゲームブックを出すに辺り、ファミコンとスケボーが好きな小学5年生が転移するという冒頭に差し替えられたものになりますね。
1988年では「異次元騎士カズマ」「西風の戦記」「イース 戦慄の魔塔」「魔神英雄伝ワタル」が登場しますね。
「イース 戦慄の魔塔」は1987年に発売されたゲームのイースがベースになっており、高校生のヒロユキがひょんなことからアドルの体に乗り移ってしまうという変更点はあるものの、それ以外はゲーム版と同じストーリーの進み方になっていますね。
そして1989年には「月光界シリーズ」「虚空の剣 真・エクスカリバー伝説」が発売され、そしてエニックス文庫からは初の「転生」作品として「天空戦記シュラト」が発売されます。
本作品は格闘好きで能天気で気分屋の熱血少年シュラト(日高秋亜人)と、大人しく慈愛に溢れた性格のガイ(黒木凱)の性格の異なるが仲の良い親友同士が、空手の試合中に大きな光に包まれ、人間界と異なる世界「天空界」に飛ばされます。
ここまではただの「転移」なのでは?と思いますが、実はこの主人公シュラトはもともと天空界の住人で1万年以上も前の大戦で命を落とした八部衆の一人「修羅王」というのを聞かされると言うわけです。
本作品の声優は関俊彦氏、子安武人氏、こおろぎさとみ氏、水谷優子氏、山寺宏一氏、井上和彦氏、林原めぐみ氏、島本須美氏と言った今となってはレジェンドの方々でしたね・・・
如何でしたでしょうか。
中編では神話から昭和時代までの異世界モノの作品について紹介させてもらいましたが、この辺りは知らない方も多かったのでは無いでしょうか?
後編では平成での異世界モノの大ブームについて語っていこうと思います。
次回もお楽しみください。
ご清覧ありがとうございました。