こんばんわ
萌えログ管理人のらすくです。
昨今『百合』と『レズ』への認識のズレや混濁が起こっていると思っています。
今回の記事は『百合』の歴史を紐解きながら、世間の認識の変化と現在の形について語ってみました。
超忙しい人向けの3行記事
・百合界隈は男性読者に支えられている
・百合は属性へ昇華した
・恋愛が主軸にあれば百合で良い
最近の百合界隈
百合作品が好きな人はお気付きの方も居ると思いますが、最近百合界隈と呼ばれる作品の中に、レズ作品が多いと感じる人いませんか?
百合専門の漫画雑誌の「百合姫」のラインナップを見てもらうと分かると思いますが、かなりの割合で女性同士の本番行為をバンバン伴う作品が増えています。
かつて百合関連の記事を取り扱った時の記事を見てもらうと分かりますが、百合とは同性愛の一つではありますが、レズとの違いとして「性行為を伴うか伴わないか」と説明したことがあります。
参考:
勿論、この解釈自体は間違っていないかと思います。
かつてはそういう風に住み分けていた事実があります。
しかし、昨今この住み分けが崩れつつあるように感じています。
良し悪しはさておきとして、何故このようになってきたかを順を追って説明したいと思います。
いつからそうなってきたか
百合の前身にあたる『エス』の存在は
以前の記事で紹介したので省くとして、アニメや漫画の世界に絞っていくと、最初に注目され始めたのは1992年に放送されたセーラームーンに登場する、「天王はるか」と「海王みちる」かと思います。
勿論、それ以前から百合相当の関係性を描いた作品は、度々登場しておりましたが、広く認知されるきっかけはやはりセーラームーンかと思います。
この二人は後に「百合界のカリスマ」と呼ばれるようになりましたが、多くの人が触れる作品としては、当時珍しい同性愛の関係として登場しました。
その後「少女革命ウテナ」などが続いていくことになります。
少し変化が生じてきたのは1998年の「マリア様がみてる」からは男性愛好者も徐々に増えてきました。
そして2000年頃に入ると百合作品と銘打っていないですが「けいおん!」「ラブライブ」「らきすた」、そして2011年に入ると「ゆるゆり」の登場で一気に「百合」と言うジャンルが多くの人に愛されるようになりました。
そう、この時までは「百合」と言う作品は、元々定義されていた「性行為を伴わない」同性愛の形で落ち着いていました。
しかし、男性愛好者も増えたことにより、女の子同士の接し方には変化が訪れてきました。
かつて女性に親しまれていた百合は、どこか奥ゆかしくて、適切な距離感があったように思います。
少し表現を変えると、プラトニックな付き合いでしょうか。
しかし男性にも親しまれる百合が登場してくると、イチャイチャするシーンが多用されるようになりました。
これは恐らく同人誌の影響を強く受けているかと思いますが、「けいおん!」や「らきすた」は18禁の同人誌で爆発的に流行っておりました。
そう、読者層がただただ適切な距離感を保った女性同士の同性愛では、満足できないようになってきたのです。
百合界隈は男性に支えられている
皆様は「百合姉妹」と言う雑誌はご存知でしょうか?
現在の百合系の雑誌と言えば「百合姫」ですが、実は前身となる雑誌が存在し、それが2003年に創刊された「百合姉妹」になります。
2005年に休止になると、同年から「百合姫」発売されるようになりました。
この「百合姉妹」及び「百合姫」の元々の読者層は女性が中心でした。
しかし、2011年に百合姫から「ゆるゆり」という作品の連載が始まります。
本作品は非常に人気が出て、後に百合姫初となるアニメ化が行われました。
これを機に一気に読者層に変化が訪れます。
元々女性中心であった百合姫ですが、男女比が7:3になる逆転現象が発生してしまったのです。
これは単純に女性が減ったというわけではなく、男性が増えたことになります。
そう、女性比率の「3」の2倍以上の男性が一気に百合姫の読者層として加わることになったのです。
その結果、百合姫の読者人口が一気増えることとなりました。
かつては男性向けの百合、女性向けの百合というのは分ける傾向にあったのですが、女性も男性向けの百合を嗜みますし、その逆もしかりの状態のため、そういった分け方はナンセンスになってきました。
しかし、分け方を辞めたことにより、「百合」と言う言葉自体正しく理解していない読者層が増えるきっかけになったと考えています。
しかしここ5~6年でしょうか?
漫画界隈にも変化が訪れて、いわゆる漫画雑誌が売れなくなってきた時代が到来しています。
ロリコン向けの雑誌LOも休刊危機に瀕していましたよね。
(こちらは作家が同人界隈に流れたのが原因かな?)
出版社としては、読者数を維持するために、より読者が好む作品を出すようになります。
男性比率が多いため、必然的に男性が好むような作品が結果として多く登場するようになったわけです。
そもそも本来の百合は属性に昇華された?
最近の「百合」作品はジャンルだけでなく、属性として扱われる事が増えてきたかと思います。
例えば最近「百合」として熱く語られる作品として、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」や「リコリス・リコイル」の存在があります。
しかし、この両作品が「百合作品です」と言われた際、恐らく違和感を感じる人が多いのではないでしょうか。
勿論、百合展開が無いわけではありません。
水星の魔女のスレッタとミオリネはラストで結婚してますし…
(公式では一応認めていない)
ただ、水星の魔女はロボットSFで、リコリス・リコイルはガンアクションが、ジャンルとしては恐らく適切かと思います。
かつて「ラブコメ」と言うジャンルが確固たる地位を築いていましたが、今やスポーツ漫画やSF作品、探偵ものなどなど様々なジャンルに盛り込まれるようになったように、百合というジャンルも今や様々なジャンルに取り込まれてきているように感じています。
そのため「百合」は今やジャンルだけでなく、属性としても昇華したのかなと思っています。
レズは今やアブノーマルじゃない
「百合」と「レズ」の垣根が無くなった要因として関係あるかどうかは分からないですが、一つはLGBTの認知の広まりにより、「レズ」がアブノーマル扱いされなくなってきた事も関係しているかなと思っています。
こちらは完全に持論なので、何か根拠があるわけではないです。
一昔前までは「レズ」「ゲイ」という存在はやや日陰者な扱いをされてきました。
「レズ」に至っては男性陣から好奇な目で見られていた気もしています。
しかし、LGBTの認知の広まりから「レズ」という女性同士の恋愛も一般化し、同時の女性同士の恋愛の先にある性行為も、決して珍しいものでは無くなったのかもしれませんね。
百合とレズの違いはどうなりつつある?
こちらはDLSiteの両者のタグの違いですが、どちらも似たような作品が並んでいますよね…
FANZAは多少ラインナップは変わりますが、多くの作品で被っています。
多分ですが、多くの閲覧数(CV数)を稼ぎたく、少しでも重複してそうなタグであれば混ぜているのも要因としてありそうですが、同時に余り両者の違いを正しく認識していない人も一定層いるのかもしれません。
ただ、何となくですが、恋愛を主軸にしていれば百合、性行為を主軸にしていればレズ、と言うのが多くの人の考えに一致するのでは無いのかなと感じています。
百合はどんどん派生している
最近では「百合BL」なる言葉が誕生しています。
初見で見ると??となりそうですよね。
この言葉は複数の意味を兼ねており、「BLの受け同士」であったり、「視覚的には百合に見えるBLカップル」であったり、「BLに見える百合カップル」というのがあげられます。
「視覚的には百合に見えるBLカップル」は、「男の娘×男の娘」の組み合わせに用いられたりもしますね。
BLに見える百合は、「女×男の娘」や「漢女×男の娘」とかでしょうか。
こちらは「疑似百合」とか「偽百合」と呼ばれることもありますね。
このように、女性同士の恋愛だけでなく、異性間や男同士のパターンも増えてきており、単純に百合好きと言ったとしても、様々な百合の種類が現在増えてきています。
百合作品はレビューを見よ
これまた完全に持論になるのですが、多少ネタバレになっても良いので、新しく百合作品に触れる際はレビューを見たほうが良いと思っています。
前述にも示した通り、現在の百合作品は一つのジャンルの中に様々な形態が存在し、人によっては禁忌に触れる状態になっています。
女性同士の恋愛を期待して作品に触れたら、突如現れた男性にNTRという展開…となると、確実に発狂する人が出てくると予想されます。
また男性作者が描く百合作品と、女性作者が描く百合作品で大分作風が異なります。
単純に女の子同士のイチャイチャが好きな人、相手を想うあまり病んでしまうドロドロ作品が好きな人、恋愛の果てに一線を超えるのが好きな人、男性キャラクターも登場する作品があったり、同じ百合好きでもかなり好みは分かれるジャンルです。
百合作品は特にデリケートなテーマなので、禁忌に触れないためにもレビューは事前に見ておくに越したことはないかなと思っています。
まとめ
「レズはひとりでいてもレズ。百合は二人いるのを外部が見て決めるもの」
これはとある漫画家の森島明子氏の言葉になります。
この表現は非常に的を得ていて、そもそも「百合」という存在は周りがアレコレ妄想していた最中に生まれた存在になります。
(補足すると、言葉自体はレズを表現したものが始まりですけどね)
そのため「百合」の定義は常に変化して当然なわけです。
生まれた世代、漫画やアニメに触れ時期が異なれば、人によって定義が違うに決まっています。
何故ならが外野が客観的に見て楽しんでいるだけに過ぎないからです。
リアルの日常で、「私達百合カップルでーす」なんて言う人なんていませんよね?
以前取り上げた以下の記事は、「当時」としては間違っていないのですが、常にアップデートは掛かっていくものだと思っています。
「百合」と「レズ」の違いについて調べていると、「XXXの考え方はアホだ!」的な事を言っている人を時折散見します。
大抵その人の意見を掘り下げていると、「どちらかが上で、どちらかが下」的な扱いや、「百合への特別視への苛立ち」というのが根底にありそうでした。
「百合」と「レズ」はどちらが上とか下もなく、どちらが特別とかでもなく、あくまでもジャンルの一つでしかありません。
その人にとっては特別かもしれませんが、存在そのものが特別になるわけではないです。
一つの解釈としては、恋愛の果への性行為は百合、性行為が中心の物語はレズという、漫画のアダルト作品の分け方が案外妥当なのかもしれませんね。
そのため、百合雑誌としてレズ作品があっても、根幹は女性同士の恋愛なので良いのかなと思っています。
如何でしたでしょうか?
なんだかまとめと言いつつも何がまとまったのか良くわからない締めくくりになってしまいましたね。
ただ、昨今「百合」とはなんぞや?「レズ」とはなんぞや?的な意見が飛び交う様子を見て、私なりに思うことをツラツラと書き綴ってみました。
皆様は「百合」や「レズ」にはどのような解釈を持っていますか?
良かったらコメント欄もしくは、Twitterのリプ欄で教えて下さいね。
ご清覧ありがとうございました。