こんばんわ
萌えログ管理人のらすくです。
前回はアニメ制作会社の光(ポジティブ)な一面を紹介しましたが、今回は闇(ネガティブ)な一面を紹介しようと思います。
・第3話アニメ制作会社の話 ~闇編~ ★今回はこちら
超忙しい人向けの3行記事
・待遇は割と悲惨
・海外道仕の存在
・止まらぬ違法ダウンロード
待遇
アニメ業界に憧れる多くの若者がいる中、やはりアニメーターを目指す上で気になってくるのが待遇になります。
アニメーターの役割として大きく分けて作画監督、原画マン、動画マンとありますが、主に新人アニメーターが担当するであろう動画マンに関しては、2019年の平均年収が125万円になります。
また年収300万以下のアニメーターが約4割というデータもあります。
雇用体制も正社員ではなく、フリーランスが全体の50%を締めているため、アニメの枚数、本数で稼ぐ出来高制になります。
そのため描けば描くほど収入にはなりますが、作業量増やすにも限界があり、収入を得るための拘束時間が増えるという悪循環があります。
アニメ制作会社が悪いというとそうではなく、アニメ業界の構造が悪く、アニメを作成する際に様々な企業から資金を出資してもらうのですが、これら出資元企業が連合を組み「製作委員会」と呼ばれる組織が出来ます。
調達した資金を使って制作会社はアニメを作りますが、その際にロイヤリティや著作権は全て製作委員会が保持するため、アニメ制作会社には少ない報酬しか入ってきません。
そのため報酬が少ない制作会社はコストカットの手段として、フリーランスを雇い、薄給で仕事を依頼するという構図になっています。
その結果、長時間労働から脱落したり、うつ病になるケースが多く、体を壊さないラインで働くと今度は生活が出来ない状態になっています。
フリーランスという雇用体制のため、社会保障も満足に受けられず、無理して働き続けている現状になります。
ヤバい待遇の事例
A-1 Pictures
2010年に大手制作会社であるA-1 Picturesの20代のスタッフが自殺した事件がありました。
本スタッフはスケジュール管理をする「制作進行」であったが、月の労働時間が600時間に達しており、うつ病を引き起こしたものとして、2014年に過労死認定されました。
生前の苦労は想像を絶するものだったでしょうね。
P.A.Works
2016年11月頃にP.A.WORKSの女性作画スタッフがTwitterに報酬明細の写真をアップした後に退社した出来事があり、その金額の少なさから炎上騒動になった事件があります。
元々アニメーターとは薄給な事は一定層にとっては周知の事実ではあったのですが、改めてアニメ業界に憧れる若い層からブラックなの業界と知らしめる誰もが悲しくなった事件になります。
マッドハウス
2019年5月にマッドハウスの制作進行として働く社員が、多い月で1ヶ月総労働時間393時間に登り、帰宅途中で倒れてて救急車で病院に運ばれる事態に発展しました。
割と近年で起こった違法な長時間労働問題ですが、この手の一連の流れでとあるアニメーターの横田守氏が、働き方改革は害悪という発言をしており、アニメ業界は過酷な労働環境じゃないと成り立たないことが浮き彫りになりましたね。
少しずつ是正の動きも出てきた?
アニメ制作会社のSTUDIO 4℃で制作進行を務める社員が、同社に対して未払い残業の支払いを求める訴訟が、2019年12月16日東京地方裁判所で始まりました。
訴訟を起こした方は、意見陳述で現場の過酷な労働環境について語り、法の抜け穴を付いて長時間労働が常習化している問題について説明を行いました。
残業代請求後に基本給が6万減らされるという事態になりましたが、一応そこは元の基本給と同額の22万に戻してもらえたほか、裁量労働制も無くなったそうです。
ちなみに裁判の結果ですが、会社から同意なく残業代全額にあたる320万円が振り込まれてしまい、判決が事実上不可能になって裁判が終了することとなりました。
訴訟を起こした方は、一応会社には属するものの、アニメーション制作の仕事は来ておらず「遊軍として待機しなさい」というような状況で、雑用が与えられているようです。
うーん・・・って感じですよね。
海外道仕は闇が深い
とあるアニメ制作会社の求人に「アニメ・マンガが好き」「未経験から飛び込んできてください!」「今が人を育てるチャンス」などの謳い文句で採用を掛けている企業がありました。
実際に入社すると月給17万のはずが試用期間ということで13万であったり、残業時間が1日1~2時間のはずが退勤時刻が27時や29時など悲惨な状態です。
仕事内容はアニメ制作会社に営業の電話を掛けて仕事を受注し、素材と呼ばれる原画やレイアウトを取りに行き、中国のスタジオにスカイプで連絡取りながら素材をデータ化して送信し、中国から戻ってきた出来栄えを確認して、締切までに合わせて納品するというものでした。
いわゆる「海外動仕」と呼ばれるもので、あまり聞き慣れない言葉と思いますが、日本のアニメ制作は現状このように「海外動仕」に頼らざる得ない背景があり、過密スケジュールからチェックミスや、外国人スタッフが確保できなかったりで、放送時の作品のクオリティが著しく低下する、いわゆる作画崩壊に繋がっているのです。
じわじわと海外のレベルが上ってきている
昨今の日本のアニメは商業化の方に固執している所があると思っており、皆様も恐らくは感じていると思いますが、いわゆる「なろう系」と呼ばれる異世界転生系の作品が多いと思ったことが無いでしょうか?
可愛い女の子とハーレムや、チート級に強い主人公が無双するなど、売れるから出すという感じで、お金儲けが出来るジャンルに大きく依存していると思っています。
深刻な労働環境の悪さから、新人の獲得及び成長は阻害されており、一方中国の方はどんどんスキルが高い人が増えてきています。
今でこそ中国は表現の自由が規制されているため驚異になっていませんが、もし国の方針が変わったときはウカウカしていることは出来ません。
2007年頃にアメリカが出したギャルゲーはお世辞にも良いものとは言えなかったですが、昨今では目まぐるしい成長をしています。
日本の「萌え」の文化が徐々に世界に浸透している感じですね。
作画崩壊の理由
アニメにおいて切っては切れない関係のものとして作画崩壊があります。
作画崩壊とはアニメ作品の作画クオリティが著しく低下し、無秩序の状態になっていることを指す言葉になります。
作画崩壊が起こる原因としては、これまたアニメ業界の構図によるものですが、アニメ制作はスポンサーや制作委員会と契約を結ぶ際に、アニメ制作会社に前払いされます。
この支払われる報酬がとにかく乏しく、少ない予算かつスケジュール不足のため、納品までにクオリティが行き届かない場合に発生します。
劣悪な労働環境で働かされるため、収入面の問題でアニメーターの後継者が育たず、少子化の影響もあり、子供向けのアニメに出資するスポンサーは予算を渋るケースが多いです。
また、報酬の大部分はアニメ制作会社の上層部に大部分持っていかれるため、更に制作会社にしわ寄せがいきます。
そのため、一概にアニメ制作会社やアニメーターが悪いわけではなく、こうしたアニメ業界の構図に問題があります。
作画崩壊については過去に書いた以下の記事も参考にしてください。
違法ダウンロードの存在
かつてWinMXと呼ばれるファイル共有ソフトの誕生から、Winny、Share、Torrentなど形を変えて何十年もイタチごっこを繰り返している違法ダウンロードの存在ですが、未だに健在だったりします。
少しググって見るだけでもすぐにダウンロード出来るサイトが見つかります。
派手な行動をしているアップロード者の逮捕は楽ですが、問題なのがダウンロード者になります。
平成24年10月1日にダウンロードも違法化になりましたが、現状親告罪であるため、ダウンロードをしている人の特定して、法的処置に持ち込むには費用や時間のコストが見合わない現状があります。
2021年に呪術廻戦の作者がTorrentの海賊版ダウンロードをしている人を、何かしらのツール(恐らくP2P FINDER?)を利用して特定し、開示請求をした事がありました。
しかし、ツールの不備から無関係の人にまで開示請求が行ってしまい、一時期話題になっていましたね。
このケースは非常に稀で、実際特定はかなり難しく、Torrent利用者を特定するためのツールとしてP2P FINDERを利用するにしても、月額費用が30~60万ほどします。
特定して裁判を起こす期間や、ツール利用や弁護士を雇う費用から、中々実行に移せる人は少ないが現状になっています。
(そもそもTorrentの構造上、被害額の算出が難しい側面もありますしね)
如何でしたでしょうか?
よく巷で「アニメ制作会社ガチャ」なんて言葉を聞きますが、これはどちらかというと視聴者視点の話になりるので記事から省きました。
アニメ制作会社は視聴者は選ぶことに関われないため、決まった会社で楽しむしか無いですからね。
次回は元々本記事を書こうとしたきっかけになる「第4話アニメ制作会社の話 ~各会社の紹介~」になります。
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ご清覧ありがとうございました。