こんばんわ
萌えログ管理人のらすくです。
久々に大きいテーマを取り扱ってみました。
記事自体は実は数ヶ月前に書いていたのですが、公開タイミングを見失っていた最中、最近アニメ制作会社の赤字記事など少しホットな話題になったので、公開に至りました。
最初はアニメ制作会社について記事にしようかと思ったのですが、過去の話や、現状のアニメ制作会社の光や闇の部分も書いているうちに記事が膨大になってしまったので、複数話に分けました。
・第1話アニメ制作会社の話 ~歴史編~ ★今回はこちら
超忙しい人向けの3行記事
- アニメ制作会社とは大きく分けて「元請け」「グロス請け」「専門スタジオ」の3つ
- アニメ制作会社の9割が東京都に集中
- 低コストで作るために様々なテクニックが生まれた
アニメ制作会社とは
アニメ制作会社とはその名の通り、アニメーションの実制作を業務とする会社になり、絵コンテ・作画・仕上げ・背景・撮影を担当します。
一言でアニメ制作会社と言っても形態は様々で、企画・制作まで行う「元請け」や、元請け制作会社から1話または実制作全般の仕事を一括して受注し制作業務全般を行う「グロス請け」(通称下請け)や、作画・背景美術・撮影など製作工程別に仕事を請け負う「専門スタジオ」の3つに分かれます。
グロス請けはよくアニメのエンディングで「(アニメーション)制作協力」といった形でクレジットされていたりします。
下請け制作会社の多くは従業員10名以下の中小企業が多く、元々は大手の制作会社に勤めていた人が独立して起業しているケースが多いです。
アニメ制作会社の誤解
よく勘違いされやすいのが、制作会社と販売会社の違いで、ANIPLEX、ポニーキャニオン、エイベックス、KADOKAWAのようにBlu-ray / DVDパッケージを発売・販売する企業とは別物となります。
ただし、ANIPLEXであればA-1Pictures、KADOKAWAであればENGIといった制作子会社を所有している場合や、バンダイナムコフィルムワークのように制作から製作・販売まで行う企業も存在します。
そのため円盤大爆死でアニメ制作会社が大損害…と言うのは間違いで、アニメが売れようが売れまいがアニメ制作会社が直接的な不利益は被ることはありません。
アニメ制作会社の歴史
日本で最初のアニメ制作会社は、1921年に日本のアニメーション創始者の一人である北山清太郎氏が設立した「北山映画製作所」であると言われています。
「北山映画製作所」はアニメ制作会社としても最古であって、日本のアニメ自体の歴史はもっと古いものになります。
現代に通じるアニメの歴史としては、以下の記事でも紹介しましたが、1917年(大正6年)にアニメは制作されたと言われています。
大規模なアニメ制作会社は1948年に政岡憲三らよって設立された「日本動画」をルーツとした東映動画(現:東映アニメーション)になります。
概ね日本に存在するアニメ制作会社は、この東映動画、虫プロダクション(1961年設立)、竜の子プロダクション(1962年設立)の3つのスタジオからスタッフが独立して新会社を設立し、派生していったものだと言われております。
勿論例外として、テレビCMの製作からアニメ制作に参入したエイケンや、大学の映画サークルから始まったガイナックスやA-1 Picturesというのも存在します。
アニメ制作会社の立地
アニメ制作会社は現状ほぼ9割近くが東京都に集中しており、更に中央線(快速)・西武新宿線・西武池袋線の沿線が非常に多いです。
これには理由があり、アニメの製作は協力体制が取りやすく、また在京キー局や販売会社との取引に対応しやすくしているためだと言われています。
そのため地方の人材獲得の障壁になっておりましたが、近年は作画のデジタル化により地方でも業務が行えつつあるようになっています。
例としては京都府には京都アニメーション、富山県にはP.A.WORKS、大阪府にはGoHandsなどがあります。
これらのアニメ制作会社は、一括で出来る「元請け」体制を敷いているところが殆どになります。
アニメ制作会社による小ネタ
本来漫画では別の作品のキャラクターを登場させることは、著作権の問題がありほぼ無いのが現状ですが、アニメでは少し勝手が異なり、同じ制作会社かつ同じ放送局の場合、アニメに関してのみ言えば同じ会社が著作権を持つため、別作品とのコラボが発生する場合があります。
一例として「クレヨンしんちゃん」では野原しんのすけがドラえもんののび太の会話を一人で演じたことがあります。
その他だとシティーハンターでYAWARAこと猪熊柔ちゃんにナンパを仕掛けた冴羽獠が投げ飛ばされるシーンがありましたね。
こちらは昔テレビで共演した経緯を話してましたね。
経緯の部分は忘れちゃいましたが…
アニメ業界を分かった気になれるアニメ
アニメ業界のことをテーマにしたアニメも多数存在しております。
P.A.Works製作のオリジナルアニメ「SHIROBAKO」では、実在のモデルを起用したアニメ業界をテーマにした作品になっております。
「万策尽きた」など名言を生み出していましたね。
その他にもディオメディア製作の「ガーリッシュ ナンバー」では、声優をテーマにした作品で、糞アニメが生まれるまでを自虐的に丁寧に描いた作品になります。
脚本はラノベ作家で、同業の人への扱いがヒドイのが特徴でしたね。
アニメの歴史
日本に初めてアニメーションの技術が外国から渡ってきたのは、今からおよそ115年以上前の1896年(明治29年)になります。
1900年から国産のアニメーション映画「ニッパールの変形」の制作が始まり、実際に放映されたのは1909年になります。
一方アメリカでは1906年に「愉快な役面相」がアニメーション映画として放映されました。
アメリカを海外の代表として括りましたが、日本と海外のアニメの違いとしては、海外では「フォトリアル」と呼ばれる写実的な作風が主流で、日本のアニメはマンガのような動きをする「セルルック」と呼ばれる手法になります。
日本のアニメの技術
世界的にも圧倒的な地位を確立した日本のアニメですが、これだけ伸びる背景としては低コストで高品質の作品を作り上げる様々なテクニックにあったかと思います。
本来アニメは90分の劇場アニメの場合、350人ほどのスタッフを必要としており、年に1作品が限界でした。
そのため毎週放送するTVアニメは非現実的でした。
しかし、そんな不可能な壁に挑戦したのが手塚治虫氏になります。
1962年、自宅敷地内に150坪のスタジオを建設し、わずか20人のスタッフで週1回のオンエアに挑もうとしていました。
しかも当時スポンサーである明治製菓からは1本55万ほどでした。
(後の話で代理店の萬年社から1本につき100万円の補填は受けていたようですが…)
当時の55万は現代の200~300万ぐらいなので、現在1本1000万ほど制作に掛かっていることを考えると、かなり安い金額だったのですが、差額は手塚治虫氏の原稿料などで補填しておりました。
ただ、制作費の問題を解決しても、圧倒的な放映時間までの短さが課題であったため、不眠不休体制だけでは解決できず、納期に間に合わせるために様々な工夫が生まれました。
その中で生まれた手法は以下になります。
三コマ撮り
本来アニメは1秒24枚(もしくは12枚)使うのですが、制作にかかる労力を軽減するために「三コマ撮り」と呼ばれる8枚の画で表現されています。
※上記ツイートの一番左です。
何故「三コマ撮り」と呼ばれているかという説明の前に、「コマ打ち」から説明したいと思います。
「コマ打ち」とは1秒間24フレームのうちに、何フレームごとに異なる絵(動画)が入るかを表したものになります。
つまり「三コマ撮り」とは、3コマは同じ絵が入るので、1秒間に8枚の動画があることになります。
これは人の目の感覚から1秒間24コマのうち、3コマ取っても残りは脳が補完して動くように見えると期待したものになります。
「二コマ撮り」は12枚、「四コマ撮り」は6枚になります。
ロボットモノやアクションモノでスピード感を出す時に「四コマ撮り」とかが採用されたりしますね。
トメ
こちらは文字通り歌舞伎のように「見栄」のように静止させる手法になります。
「トメ絵」「止め絵」「止め口パク」とも呼ばれていたりしますね。
例えば何人かの集団を第三者目線(神目線)で俯瞰して描画し、各々が語っている場面であったり、推理中など何かを考え事をしている際に、頭の中で状況整理している場面であったり、山に登った際に頂上からの眺めを見ている際など、実際のアニメでは声優が喋っているのですが、「絵」自体は動いていない状況に使われたりします。
引きセル
人物がバストショットでフレーム・インするときや、車などがよぎる場面など、動きが少ない場面で動画を1枚ずつずらして撮影する手法になります。
この手法は色々な場面で応用されており、例えば大勢の人が居る場所で、カメラが左右に動くような感じで全体を移す「PAN(パノラミング)」や、PANよりじっくり動く「じわパン」や、下から上に動く「パンアップ」、上から下に動く「パンダウン」など、その他の手法にも採用されております。
繰り返し
これは歩いているシーンなどキャラクターの動きを繰り返す手法になります。
背景だけスライドさせていき、あとは声優の喋りで補っていきます。
口パク
これはキャラクターの顔の輪郭はそのままにして、口を閉じている時の唇の位置を少し上側に描き、喋る時の口を開いた際の領域を残しておく手法になります。
こうすることで、口元だけを描くだけで済むため、大幅な短縮に繋がります。
「トメ」のところで少し触れた「トメ口パク」ですね。
部分
こちらは顔や体を固定した状態で、手や足だけを動かす手法になります。
原理としては「口パク」と同じになります。
兼用
同じ動画を何カットも兼用することで、動画の枚数を削減する手法になります。
ショート・カット
ワンカットが長いと、キャラクターを動かさないといけないのでカットを短くして躍動感を出す手法になります。
如何でしたでしょうか?
最近ホットになってたいたのと、意外とアニメ制作のお金の流れを知らない人が居たので、記事にしてみました。
この他にアニメ制作に纏わる小ネタがありましたら、コメント欄もしくは、Twitterのリプ欄で教えて下さいね。
ご清覧ありがとうございました。