漫画の歴史について
漫画の歴史は古く、遡ると1798年に刊行された「四時交加」という絵本が初期だと言われています。
現代に通じるコマ割り、フキダシが登場し始めたのは1923(大正12)年に新聞に掲載された、「ノンキナトウサン」や「正チャンの冒険」と言われています。
その後、少年向けの週刊誌として、1959年に講談社から週刊少年マガジンと小学館から週刊少年サンデーが登場し、1968年には集英社から週刊少年ジャンプ、翌年1969年には秋田書店から週刊少年チャンピオンが登場します。
少女漫画は1963年に集英社からマーガレット(月2回)が最初では無いかと思います。
成人向けの雑誌は1986年に辰巳出版からペンギンクラブ、1994年にワニマガジン社からCOMIC快楽天が登場します。
昭和後期
当初漫画と言えば男の主人公でスポーツ、格闘と言った熱血系の漫画が主流でした。
それから徐々にギャグ漫画も登場してきたかと思います。
センシティブな作品として先駆者として、1968年に週刊少年ジャンプより連載が始まった、永井豪氏による「ハレンチ学園」があります。
当時は少年誌では暗黙のタブーとなっていた性描写を取り入れた作品で、少年誌エロ漫画の元祖と言われています。
因みに本作品に登場したスカートめくりが、学校で流行ったことと、朝日新聞や毎日新聞が本作品を紹介したことで、多くの大人が目にすることとなります。
そして1970年1月に三重県四日市市の中学校長会が問題視し、有害図書に指定する働きを起こそうとしたり(結果叶いませんでしたが)、各地のPTAや教育委員から多数の苦情も寄せられました。
PTAからの苦情は特に激しく、作者への人格否定にまで発展し、良くも悪くも週刊少年ジャンプは一躍メジャーに押し上げる結果となりました。
その後永井豪氏の快進撃は続き、1973年には「キューティハニー」1975年には「けっこう仮面」を現代でも残る作品を創出していきました。
このような経緯もあり、1980年には「まいっちんぐマチコ先生」、1982年には「Oh!透明人間」、1986年には「いけない!ルナ先生」など、センシティブなのを狙った作品は多く登場することとなります。
この時期はアダルトと全年齢の区別が基本無かったため、乳首の描写は頻繁に登場しておりました。
性行為の描写も割りとリアルに描かれていた時代かと思います。
平成前期
昭和の頃はギャグの延長線上にエロがありましたが、平成になってくるとやや大人の恋愛が混じったセンシティブな作品が登場し始めます。
1988年にはバスタード、1989年には電影少女、同年にはてんで性悪キューピッドが登場します。
バスタードは最近Netflixでリメイクされておりましたね。
電影少女は当時の小学生たちの多くを魅了し、週刊少年ジャンプのお色気枠として活躍しておりました。
桂正和氏の手掛けるパンティ姿は当時芸術の域とも言われていました。
女性の心理描写も丁寧に描いていたこともあり、女性ファンも多く居たかと思います。
てんで性悪キューピッドはあの幽遊白書やHUNTER×HUNTERで有名な冨樫氏の初期の作品ですね。
この時期はまだかなり寛容な時代で、少年誌でも乳首が描写されることは頻繁にありました。
そこから1990年には「オヤマ!菊之助」、1993年には「地獄先生ぬ~べ~」、2006年には「ToLOVEる -とらぶる-」と言った、ラッキースケベ系の作風に変化していったかと思います。
「地獄先生ぬ~べ~」は今は絶対に掲載出来ないほどのセンシティブなものでしたね。
しかしこの時期からは少年誌から乳首が描写されることは控えられるようになります。
「ToLOVEる -とらぶる-」は前作である「BLACK CAT」のシリアス展開から打って変わって、お色気路線に切り替えた矢吹健太朗氏の作品ですね。
最早技術の頂点と言わんばかりの際どいシーンを見事に描写していましたね。
しかし、平成後期に掛けてやや暗雲が立ち込め始め、乳首の描写がかなり制限され始めてきた頃かと思います。
平成後期
平成後期になってくると週刊少年誌で際どいシーンはかなり制限されてきたように感じます。
平成前期にあったような性行為を彷彿させるようなシーン、凌辱シーンはかなり制限されていたかと思います。
一方ヤングジャンプ、ヤングサンデー、ヤングマガジンと言った青年漫画では乳首はおろか性行為もバンバン出ているかと思います。
令和の話になりますが、最近だと「かぐや様は告らせたい」でも直接的な描写は無いものの、事後のシーンは描かれていましたよね。
2014年に週刊少年マガジンで掲載が始まった「ドメスティックな彼女」では、序盤に性行為の描写がありましたが、これはこの時期にしてはかなり稀なケースかと思います。
しかしこの時期になると法の目を掻い潜るわけではないですが、あの手この手で乳首をうまく描写する手法が登場しますね。
有名なのが2019年10月に週刊少年ジャンプで連載中の「ゆらぎ荘の幽奈さん」のカラー表紙で、一見すると温泉に浸かる幽奈さんが、謎の湯けむりで乳首が見えないはずですが、透かし絵の要領で見てみると次のページに描写されているタピオカと乳首が一致するなんて手法が使われておりました。
神業か!
そして2022年では週刊少年マガジンにて、『生徒会にも穴はある!』の温泉回ではなんと乳首解禁!?と思わせる描写があるのですが、なんとそのキャラクターは男の娘で性別上は「男」というものでした。
いやいや、どう見ても女の子だし、膨らんでるでしょ!
脱法乳首、ここに極めたし。
週刊少年誌におけるラスト乳首は何か?
乳首が描写される漫画として有名なのが、高橋留美子氏の作品シリーズかと思います。
うる星やつらを皮切りに、らんま1/2では沢山の乳首が登場しておりました。
ちなみにらんま1/2の女らんまの乳首が多いのには理由があり、高橋留美子氏の姪が漫画を読んだ際に、男と女の入れ替わりに気付けなかったのがきっかけに、センシティブな胸部を晒すことで印象付けたそうですね。
と、少し脱線しましたが、週刊少年誌におけるラスト乳首は、この高橋留美子氏による作品の一つである犬夜叉15巻に登場する、「風の傷」をくらった神楽がラストでは無いかと思います。
2000年頃ですかね。
もしかすると2000年以降にもあるかもしれませんが、もしご存知の方がいればコメント欄で教えてください。
近親相姦ネタはかなり厳しい
2009年にチャンピオンREDにて「あきそら」という作品が掲載されていました。
内容は同じ家で暮らす姉弟のアキとソラによる近親相姦を題材にしており、その他にも双子の妹とも関係を深めるものなっておりました。
ところが2011年に東京都は出版倫理協議会・出版倫理懇親会との会合において、改正された東京都青少年の健全な育成に関する条例が施行された場合、どういうコミックが影響を受けるかの例として、「あきそら」が挙げられました。
筆者である糸杉柾宏氏は「私にとっては、死刑宣告です」と落胆を露わにし、東京都に反発を訴えておりました。
しかし、世の中の流れには逆らえず、編集者からはなるべく性描写を抑えるように指示され、途中からは一切性行為が描かれなくなることで作品を継続させてました。
年齢制限が曖昧な分、この辺りはエロゲーよりも少々動きづらい感じになりますね。
昨今の事情
ゲームやアニメと違い、漫画はとにかくアダルトと全年齢の境界は曖昧です。
一応成人向け漫画というジャンルはあるものの、その手の作品はいきなり性行為が始まるなど、いわゆるエロゲーにおける「抜きゲー」的な立ち位置になるかと思います。
逆に言うとある程度ストーリー性さえあれば、青年誌であってもバンバン裸体は登場しますし、なんなら性行為も恋愛の果てにあるのであればOKときたものです。
「彩純(あすみ)ちゃんはレズ風俗に興味があります!」はモロレズ作品ですし、「先生、俺にかまわずイッてください!!」は女の子の自慰行為に着目した作品になっています。
少年誌ではいわゆる「色無し乳首」と呼ばれる、そこにあるはずの乳首を描き込まない手法で乗り切るケースが増えてきたかと思います。
如何でしたでしょうか?
漫画は基本モノクロなこともあり、かなり境界線は曖昧な感じはしますよね。
漫画がモノクロではなくカラーが一般的だったら、もしかするともう少し状況は違っていたのかもしれません。
さて、次回はアニメのテーマについて語りたいと思います。
ご清覧ありがとうございました。