こんばんわ
萌えログ管理人のらすくです。
突然ですが皆様は「百合」はお好きですか?
ユリ科に属する草花のことではなく、女性同士の恋愛や友愛の方の百合ですよ。
「百合」は男性同士の「薔薇」とは異なり、幅広い層に愛されつつも、同時に解釈の違いから揉めることもしばしばあるジャンルになります。
今回はそんな「百合」について語ってみたいと思います。
超忙しい人向けの3行記事
- 百合とは女性同性愛だけでなく、友愛も含む
- 百合の源流は大正時代のエス
- 百合はしばしば揉めるテーマ
百合とは
冒頭でも説明しましたが、一言で言えば女性の同性愛のことを指します。
もう少し詳しく説明すると、女性同士の恋愛だけでなく、恋愛に近しい友愛も含んだ広い解釈になります。
このように必ずしも「恋愛」に限らない、または恋愛に至らない関係性を描写したものだったりします。
「ガールズラブ」と呼ばれることがありますが、最近では百合とガールズラブは違うという解釈が生まれつつありますが、そちらは後述で説明したいと思います。
ちなみに海外では百合を「Yuri」とそのまま表現しております。
百合という言葉の誕生
百合の語源は有名なので恐らくは多くの人が知っていると思いますが、1976年に男性同性愛者向けの雑誌「薔薇族」の編集を勤めた伊藤文學氏が、男性同性愛者の薔薇族の対義語として「百合族」という言葉を提唱したのが始まりだと言われています。
本来日本では「百合」は「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と言った美人の例えとして使われることがあり、男性同性愛者が真っ赤な薔薇であるなら、対比するイメージとして白百合を充てたという説があります。
しかし当時は女性同性愛者としての意味として使用されていたため、現在の「百合」の定義からは少し解釈が異なっておりました。
百合の先駆者のエス
「百合」が誕生する前にも実は源流となるジャンルが存在します。
1916年~1924年頃に吉屋信子氏による「花物語」と呼ばれる少女小説にて、少女同士の強い絆のことをエスと言葉が登場します。
1914年に宝塚歌劇団の創立もあり、少女から大きな支持を得て、現実の女子校でもエスとよく似た少女同士の強い関係も生まれていました。
戦前の結婚というものは、親から押し付けられるものが一般であったため、少女は結婚までの限られた時間を、閉鎖空間である女子校内で、唯一自由な女性同士の愛のファンタジーとして感じておりました。
そして1911年7月に新潟で起こった、女学校卒業生同士の心中事件に機に一気に社会的に注目を浴びることとなります。
当時は「恐るべき同性の愛」とまで言われており、様々な議論の結果、性的関係というよりも精神的な絆として認識されるようになり、「恋愛の予行練習」「異性愛の前段階」「思春期の一過性の感情」と解釈されるようになりました。
性的な接触があれば「異常」「病的」「性倒錯」という暗黙の基準が設けられました。
百合とレズの違い
多くの人が「百合」と「レズ」を区別する傾向があるかと思います。
明確な違いは性行為を伴うか伴わないかになります。
ではキスはどうなのか?と言うと、こちらは二次元と三次元で異なります。
二次元はキスやハグは百合に該当し、三次元ではキスからレズに該当します。
ただ、二次元のキスは百合ですが、「ガチ百合」と呼ばれることがあり、それはもうレズなのでは・・・?と言う疑問が湧くところではあります。
もっと言うと百合SMと言う謎の言葉までありますよね。
またもう一つの違いとしては「愛の重さ」が挙げられるかと思います。
元々は「レズ」の派生である「百合」であるため、同性に対する好きの度合いや、同性愛として意識しているかが分かれ目になるかと思います。
百合ファンの間では森島明子氏が提唱する「レズは一人でいてもレズ。百合は二人いるのを外部から見て決めるもの。本人たちがどう思っているかはともかく、外部から見てはじめて百合は百合になる」で落ち着いているようです。
本来女性同性愛者を指す「百合」という言葉でしたが、やはり同性愛自体は苦手な層や、マイナスイメージを持つ人が一定数いるため、このような解釈が生まれたのかもしれませんね。
このような考え方は同性愛者への差別的な意見もありますが、最近は恋愛を伴わないケースもあるため、致し方ないのかもしれません。
百合とガールズラブの違いは
基本同じものと解釈して問題ないと思います。
しかし、最近は区別する人が出てきているように感じます。
多分最近の創作作品で、恋愛感情を伴わない女の子同士で仲良く過ごす物語が増えたこともあり、恋愛対象を伴う「百合」と区別するためにガールズラブで分けるようにしたように感じています。
そのため、百合は友愛が主軸で、ガールズラブは同性愛を含み、レズは肉体関係を伴うと言った感じでしょうか。
尚、ガールズラブは肉体関係の一歩手前なので、イラストサイトなどでこのタグを使うとR18のイラストが出てくることがあります。
百合の歴史
百合の先駆者的な存在は1958年に「双子の騎士」と呼ばれる、「リボンの騎士」の続編になるかと思います。
「百合」とやや定義は離れますが、男装の少女が女性を惹きつける場面が描かれております。
1963年のなかよし版の「リボンの騎士」では女性同士の結婚の場面もあります。
その後、1969年に「ガラスの城」、1971年に「白い部屋のふたり」、1974年に「おにいさまへ…」と少女漫画を中心に多くの百合作品が誕生します。
1980年代になるとアダルトアニメとしてくりいむレモンシリーズから「エスカレーション」が発売されますが、こちらは「百合」ではなく「レズ」の作品になります。
そして百合が浸透するきっかけになったのは、1992年に始まった「美少女戦士セーラームーン」に登場する、天王はるかと海王みちるが同性愛関係と設定され、この二人は「百合界のカリスマ」として大きな影響を残しました。
その後、1997年には「少女革命ウテナ」で女性同士の耽美的関係をテーマにしてその後の学園百合のテンプレを確立したかと思います。
1998年「マリア様がみてる」では男性愛好者が増えるきっかけになったかと思います。
その結果、2000年頃に入ると、「魔法少女リリカルなのは」、「けいおん」、「らきすた」、「ラブライブ」と言った美少女作品から百合っぽい作品が登場するようになります。
2011年には「ゆるゆり」の誕生で、今まで密かに百合を愛していた男性も、堂々と楽しむ事ができるようになり、百合好きの男性ファンが表立って見えるようになったかと思います。
女性から見た百合と男性から見た百合
「百合」は元々は女性向けから発展したジャンルですが、今では男性向けでも支持されるジャンルになります。
しかしこの両者は同じジャンルですが、割りと別物と言うか、求めるもの(視点)が違います。
女性向けの百合は、女性の内側に秘める感情に視点が置かれており、恋愛描写でもしばしば闇を抱えており、「ドロドロ」であったり「鬱」と言ったメンタルを攻める物語が多いかと思います。
これは女性は元々恋愛では受け身であることもあり、「実はこんな感情を抱えているの」と言った感情が後から襲ってきます。
一方男性向けの百合は、女性の外側の感情に視点が置かれており、良く言えば優しい世界ですが、悪く言えば都合の良い展開の物語が多いかと思います。
女性の汚い部分や腹黒い部分にはそっと蓋を閉じて、みんな仲良しで身も心も綺麗かつ清純な理想の女性像を描くため、日常のホンワカしたストーリーであったり、イチャイチャしたシーンが多いです。
百合はしばしば揉めがちなテーマ
「百合」はSNSでよく揉めるテーマになります。
何故かというと「ボーイズラブ」と異なり、「百合」は男性に侵食を受けがちなジャンルになるからです。
男性に侵食されると何が起こるかというと「性欲を満たすコンテンツ」を受けてしまうことがあるからです。
結局のところ、百合に男性がいるのかどうかという話にもなってきます。
「百合に挟まる男」と言う言葉があるように、女性同士の関係性に介入してくる事象は度々あり、ひどい場合は純粋な女性同士だけで完結する百合作品と思いきや、途中から男が登場し、ただの男女の恋愛作品になったりすると目も当てられません。
また更に「TS百合」と言う本来男性だったキャラクターが女性キャラクターになり、女性同士のカップリングも存在しており、純粋に百合を愛する百合界隈では「TS要素を百合というジャンルに入れるな」と言うバチバチがあり、最近ではタグの棲み分けがされているかと思います。
まぁ心が女性で性転換した場合はどうなのか?という話がありますが、恐らくこれを言い出したら話が収束しない気がしますね。
百合営業
「百合声優」と言う言葉はよく耳にしたことがある人がいるのではないでしょうか。
主にラジオで多いかと思いますが、女性声優同士が仲が良かったり、そのアピールから妄想されるキャラ付けになります。
BLのように性的な要素は無く、あくまでも声優同士の楽しげな会話をニヤニヤして見守るのが主で、事務所の戦略かもしれませんが、「○○ちゃんは私の嫁だから!」と発言する女性声優が大変多いです。
これは最近の声優がアイドルとほぼ同等の扱いのため、処女信仰と言うか他の男性との関係性があるよりか、女性声優同士でキャッキャウフフの方が良いという話ですね。
ちなみに百合声優として有名な人も結局男性と結婚しているので、女性同士でキスまでしていたのは何だっただろうと思いますが、あまり考えないようにしましょう。
百合のこれから
百合は今後も一定数の支持を得られるジャンルかと思います。
ただ、女性だけでなく、男性ファンも一定数あるため、度々軋轢は生み続けるかと思います。
何故なら百合の魅力は「女性」と「男性」では楽しみ方が違うかと思います。
ただ、共通して言えることは異性愛に拘らない、可愛かったり美しいものを素直に愛せる尊さにあるかと思います。
どこか背徳感があり、でも純粋な愛であり、そういった関係性に惹かれるのではないでしょうか。
如何でしたでしょうか。
百合というテーマは奥深く、何かと意見が割れる難しいテーマだったので、人によってはそれは違う!と思う方もいるかもしれませんが、温かい目で見てくださると幸いです。
ちなみにBL好きの女子を腐女子、男子を腐男子と呼びますが、百合好きの女子は百合女子や姫女子と呼び、男子を百合男子と呼ぶそうですね。
皆様はどんな百合作品がお好きですか?
良かったらコメント欄、またはTwitterのリプ欄で教えて下さいね。
ご清覧ありがとうございました。