ラブコメの主人公の傾向は年代によって変化
1980年代
体力:高
知力:低
性欲:低~高(両極端)
この頃のラブコメの主人公は熱血タイプが多く、猪突猛進で学校の勉強はあまり得意ではなく、体力バカなケースが多かったと思います。
スポ根の作品ではひたむきにスポーツに打ち込むため、あまり性欲全開なキャラクターはいないですが、コメディに振り切った作品になるとナンパ師だったり性欲に一直線なキャラクターが多かった気がします。
当時はやはり、男性は力強くあるべきという風潮が影響しているかもしれませんね。
1990年代
体力:中
知力:中
性欲:中
この頃になるといわゆる草食系男子が多く登場し始めており、体力は並、知力も並と言った、良くも悪くもあまり目立たない系の、いわゆる普通タイプの主人公が多かったと思います。
まだ草食系男子という言葉が世に出ていない時期ですが、徐々に男性が力強くあるべきと言うのが受けなくなって時期に、差し掛かってような気がします。
しかし、この頃からハーレム系の作品が増えてきたこともあり、特に取り柄が無さそうな平凡な主人公が何故か多くのヒロインに愛されると言う展開に世の男性は魅了され、世の女性は「何故こんな人がモテているの?」と首を傾げておりましたね。
2000年代以降
体力:低
知力:高
性欲:ムッツリ
この頃になると20年前の作品と主人公の傾向はガラリと変わってしまい、体力は無いけど勉強は出来る系の主人公が増えてきたかと思います。
スポ根や格闘系の作品の場合体力はしっかりあるのですが、どの主人公も猪突猛進系なタイプよりも少し冷静に分析できる知的なタイプが受けるようになります。
ただ知力も天才よりも、努力して勉強した結果、好成績を納めるといった秀才タイプが目立つようになります。
まぁ求められる男性像も体力バカよりも、将来安定しそうな人を選ぶようになったというのと、草食系男子が増えたのが影響しているのかもしれませんね。
ラブコメのヒロインの人数は年代によって変化
ラブコメのヒロインの傾向については、過去の記事で死ぬほど語ったので、そちらを見るのが一番早いかと思います。
ヒロインはラブコメのメインディッシュの存在なため、あまり鉄板というキャラクターは存在しないのかもしれません。
ただ、登場するヒロインの数は時代とともに増えてきた傾向があるかと思います。
1980年代の頃はせいぜい2人ぐらいだったかと思います。
1990年代からはハーレム系作品が増えてきたこともあり、ヒロインの数も3人、4人と増えていったかと思います。
同時期に流行し始めたギャルゲーも、攻略人数が10人近くいて、この当時の傾向かと思います。
そういう意味では1980年代のらんま1/2は、ハーレム系の先駆者的な存在でしたね。
最近のラブコメでは概ね4人~5人といった感じでしょうか。
作者が男性か女性かによってヒロインの傾向が異なる
今まで多くのラブコメを見てきましたが、作者の性別でヒロインの性格に傾向がある気がしています。
まず男性作者が描くヒロインは「とにかく可愛い!」に尽きます。
もちろん弱点や苦手な点はあるのですが、ぶっちゃ男性目線から見るとグッドポイントにしかならないようなものであり、良くも悪くも理想の女の子であることが多いです。
清純と言いますか、心が綺麗というか、男性が理想とする「良い」女性がそこにいます。
一方女性作者が描くヒロインは可愛いだけでなく、女性の腹黒い一面が垣間見えることがあります。
綺麗事ばかりではなく、性格が悪い一面もあり、「人間らしさ」が表現されています。
好みは分かれるかもしれませんが、女性作者のヒロインの方が物語としては面白くなるんですよね。
キャラクターが自由に動くのです。
そして女性作者が描くヒロインでもう一つの傾向として、かなり奇抜な性格な女の子を描くのも傾向としてありそうですね。
ラストはどうなると良い?
ラストは大きく分けると以下の3点に分かれると思います。
- 一人と結ばれてハッピーエンド
- 一人と結ばれてその後暫く続く
- ifルートとして全ヒロインとのハッピーエンド
これはいつも物議を醸していると思っています。
一人と結ばれてハッピーエンド
昔のラブコメは概ね一人と結ばれてハッピーエンドが鉄板だったと思います。
しかし、これが一番良い結末の迎え方だと筆者は考えています。
その後スピンオフなどで後日談とかが描かれると、非常にムネアツな展開ですよね。
ただ、ダラダラと連載が続き、人気が低迷したのを期に、慌てて最終回に向けてドタバタと一人と結ばれてハッピーエンドを迎えるのは、読者が盛り下がって興味が薄れたタイミングでクライマックスの展開なため、勿体ない感がします。
更に加えて自分の推しと結ばれなかった時は、どうしても盛り上がりに欠けてしまいます。
一人と結ばれてその後暫く続く
これは良い場合と悪い場合があると思います。
結ばれた後のイチャイチャを見たいんだ!と思う層には良いかもしれませんが、概ねグダってきてしまう印象は拭えません。
そもそも結ばれる瞬間が一番のクライマックスなため、その後どうしても盛り上がりに欠けてしまいます。
更に盛り上がらせようとして、大きな事件を描こうとしても、作風が変わってしまう事があり、かなり作者の能力が問われるかと思います。
ifルートとして全ヒロインとのハッピーエンド
これは割りと悪手な気がしています。
ヒロインにはそれぞれ推しファンがいるため、全てのファン層を要望を叶えますが、パラレルな話になり現実味が薄れてしまうと思っています。
ゲーム化した際に、別のヒロインと結ばれるルートが作られているのは、物凄くムネアツな展開なのですが、原作でそれをやってしまうとゲーム化した時の売り込み手段も無くなりますし、何より公式は「正」のルートなので、そこが複数ルートになると何が正しいのかがモヤモヤしてしまいます。
良く言えば読者に寄り添う、悪く言えば読者に媚びる状態になってしまうため、どれだけ批判があろうとも、作者はどういう結末にしたいかのありのままを、出し切って欲しいと思っています。
ラブコメは現実と空想の狭間な存在
そもそも創作物とは空想の出来事です。
下手にリアルティを求めすぎるのは、作品の楽しめなくなる要因の一つだと思います。
よくオタクを毛嫌いする人の中には、「そんなの現実に存在しない」とか「そんなご都合主義」とか「そんな展開キモい」と言う感想を言う人がいますが、実際オタクは作品にそこまでリアルティを求めているとは限らないです。
しかし、ラブコメは少しだけ勝手が異なります。
ラブコメは空想上の出来事ですが、相手を想い、結ばれる時にはどこか感情移入し、共感を得る必要があるのです。
現実と空想の狭間な的な存在になるんですよね。
そのため、いつまでも結ばれずにダラダラ進行するのは中々共感が得にくく、結ばれた後に結ばれる前を超えるような胸が熱くなる展開を描くのは、かなり難しいように感じています。
そこに更には複数人と結ばれるパラレル的な未来は、更に想像しにくいのです。
ラブコメってどう描くと良い?(超主観)
これまでダラダラと超主観的な意見も交えつつ、ラブコメの傾向について分析しましたが、個人的に以下のようなラブコメが一番しっくり来るという結論に至りました。
・主人公は奇抜にし過ぎない
・登場ヒロインに理想を詰め込みすぎない
・登場ヒロインは多く4人まで
・開始から結末までのアウトラインを元に、無駄に引き伸ばしをしない
・ラストは一人と結ばれて最終回を迎える
主人公は奇抜にし過ぎると、男性読者の感情移入しにくくなり、共感が得にくくなります。
そのためヒロインが奇抜になるのは良いですが、主人公は程々にしておくのがベストと思っています。
一方ヒロインの方は、登場キャラクター数が多すぎる、または登場するヒロインが片っ端から主人公に好意を抱くハーレム系は、エロゲーなら良いですが、ラブコメでやると今度は女性の共感は得にくくなります。
そして物語は最初の構想をベースに作り、人気が出ているから新たに物語を追加して引き伸ばすのは、程々にした方が良いと思っています。
ラブコメは読者から「終わって欲しくない!」と言う強い要望の頂点にあるタイミングで終わらせるのが、一番伝説として残るように感じています。
数年後ぐらいに、後日談みたいなスピンオフで再びムネアツな体験をすることが出来ます。
また、ゲーム化した際に、自分の推しと結ばれるエンドがあるとかなり盛り上がります。
如何でしたでしょうか?
今回はかなり主観的な意見に振り切った記事になります。
もちろん賛否はあると思いますが、あくまでも一個人の考えと思っていただければ幸いです。
逆に自分はこういう意見がある!というのは是非コメント欄で教えていただけると嬉しいです。
ご清覧ありがとうございました。