前置き
今回「とある版画展」に参加してきました。
インターネットでは詐欺だ!っと騒がれていたので、それをそのまま鵜呑みにするわけにはいかないと思い、この目で実際どうなのかを確かめてきました。
そのため、今回の記事はあくまでも「事実ベース」でしか語りません。
そこからの解釈は皆様にお任せします。
絵画展示販売会と書かれていたり、○○新作版画展と書かれていたりしているので、本記事でもやや表記ゆれはあると思います。
また、あまり画像がなく、文字文字しちゃっていますが、ご了承のほど、よろしくお願いします。
参加してきた版画展
アールビバン株式会社が主催するアールジュネスの版画展というものに参加してきました。
軸中心派とかもやっている会社ですね。
展示販売会と言っても一人の絵師だけでなく、複数の絵師ごとにそれぞれ展示販売会として紹介されていて、実際には同じ会場に辿り着くと言うものでした。
展示販売会の入場料は無料で、更にWEB予約するとクリアポスターやイラストカードが貰える太っ腹っぷりでした。
しかしながら勿論、中での撮影は一切NGでした。
展示販売会はどのようになっていたか
まず入ってすぐの所はグッズ売り場でしたが、あまりグッズは置いていませんでした。
(恐らくは殆どは軸中心派から持ってきたもの?かな)
こういう無料の販売展示会ってグッズも売らせてナンボだと思うのですが、グッズはあまりなく、そこから先に進んだ所に版画が沢山展示されている部屋がありました。
室内はやや暗めの設定で、版画に少しライトを当てるような感じで、演出が施されていました。
有名なイラストレーターのみを取り扱っているので、当然のことながらどの作品もクォリティは最高潮に高かったです。
その版画のお値段いくらと思いますか・・・?
安いのでも30万ほどします。
勿論、中には40万や50万、下手したらお値段の記載が無いものもあります。
展示会をウロウロしていると…
展示会をウロウロしているとスタッフの人が話しかけてきます。
すごい若い方で、しかも営業っぽく爽やかで声がでかい人です。
絵師の知見も深く、そのスタッフの趣味か否かは分からないですが、話してみるとよく調べている人だなぁという感じでした。
そこからは版画の素晴らしさを語るターンです。
なんでも印刷物は色に限界があるが、版画だと何層にも色を重ねて無限色を出せるんだとのこと。
また、絵師自らが着色するのではなく、絵師は線画のみで、そこから別の人間が着色していくのですが、要所要所で絵師のチェックが入り、全てのチェックがOKになったものだけに最後サインを入れて合格にするものだとか。
だから希少価値が高いんです!っと声高に話してました。
しかし、全て絵師自ら手掛けた手書きならいざ知らず、版画にそこまで価値があるかは正直私には分かりませんでした。
営業さんの口説き方
営業の方は沢山の質問を投げられてました。
「この版画の中で家で飾りたい!って思うものはどれですか?」
「この1枚の版画の完成に至るまでの期間はどれぐらいだと思いますか?」
「この版画がもし100円だったら買いますか?」
「この版画が10万だったら買いますか?」
「この版画が20万だったら買いますか?」
「先程10万なら買いたいと仰ってましたが、20万では買わないとなると、その差は何ですか?」
「大人になって量と質どちらが大切になりましたか?」
「一番高く購入された版画の価格はいくらだと思いますか?」
「○○の版画は500万で購入されました」
心理学に詳しい人なら分かると思いますが、いわゆる言行一致を利用した販売手法になります。
言行一致の社会心理学とは?
例外はあるものの基本的に人は、周りからいい加減な人間だと思われたくないという心理があります。
人は無意識に自分が行った言葉と、自分の行動を一致させようとしています。
セールスの人が「この中で飾りたい版画はどれですか?」という問いかけに対して、「○○です」と答えた時点でこの版画が気に入ったことであることを相手に発言させています。
価値に関しても同じです。
作成工程として、絵師の厳しい品質チェックを行っていて、作成期間が3ヶ月以上掛かることも事前に伝えた上で、じゃあ巷に売られている複製原画やましてはタペストリーとは明らかに価値が異なりますよね?という形で相手に認めさせます。
その状態で、10万までなら買うと思っているのに、何故20万30万ではだめなのか?その差の10~20万は何なのか?という理由を尋ねることで、価値があることを相手に認めさせます。
もし、ここで買いたくてもお金が無いから…と言えば、恐らくローンの話を持ち出されると思います。
まぁ私は40万でも50万でも一括で払おうと思えば払えますが、シンプルに「作品の価値」と「自分が出しても良い額」は一致しないと回答しました。
その後は割りとあっさり引き下がっちゃったんで、私としてはもうちょっと情報を聞きたかったですが、割りと長い間問答を繰り返して疲れていたので丁度良かったかもしれません。
まぁその後の塩対応は今でも忘れませんが(笑
帰る前にグッズを買おうとしたときも「あぁ、はい」的な気だるい感じの対応でした。
まぁ版画買う気のない人に笑顔を振りまく必要はありませんからね。
「また興味があればいらしてください」的な言葉も一切無い感じでした。
実際版画の質はどうだったの?
さすがに有名なイラストレーターさんのイラストなので、イラストの質はかなり高いものだと感じました。
しかし、現代の印刷技術を用いた印刷と、この版画の差は何か?と聞かれたら私はここだ!っとは答えられないです。
無限色とか言われてましたが、よく音質を良くするために人があまり聞き取れない領域の音域を再現したり、電線すらも交換するツワモノがいますが、ぶっちゃけ差は何かと言われても分からないです。
太陽の光で劣化しにくいとか、太陽の光を当てると印刷物との差が出ますとか言われても、私は正直分からなかったです。
ただ、版画に詳しい方が居れば分かると思いますが、手間暇は印刷物に比べると圧倒的にコストは掛かります。
とは言え、実際にある程度流れ作業で実際に30万50万、はたまた400万もするかと言うとそこまではコストは掛かっていないと思います。
なので、所謂ブランドの価値だと思っています。
GODIVAのチョコの材料費と価格が見合わないとか、GUCCIのバックの材料費と価格が見合わないとかって誰も言いませんよね?
つまりはブランドの価値を提供しているものかと思います。
ただまぁブランドの価値と言っても、世間からの知名度と本作品の価値はまだ釣り合っていない印象はありました。
ビジネスモデルはどうなってるの?
こういう絵画展示販売会は無料で参加できます。
更にWEB予約するとクリアポスターやイラストカードまで貰えます。
しかし、短期間とは言え、多くの場所で開催されるのでハコ代(貸しホールのレンタル代金)も掛かりますし、スタッフはどの地域でも概ね同じなので出張費はかなり掛かると思います。
そのため、客単価を上げることにより採算を得ているのかと思います。
1つ辺り30万以上するため、1会場で10人買えば300万の売上です。
8箇所回れば2400万ですね。
そのため短期決戦型で、Twitter広告などで広く宣伝し、開催日も土日挟んだ金~月の4日間に絞ることで、一気に売上をあげる戦略かと思います。
結局詐欺なの?どうなの?
結論から言うと詐欺ではありません。
そもそも詐欺というのは虚偽の情報を与えて、相手を錯誤に陥らせる行為を指します。
決して嘘を並べるわけではなく、事実のみを伝えた上でセールスをしています。
まぁ何十年も運営している会社なので、詐欺なんてしてたらとっくに捕まって会社は潰れていますよね。
実際クーリングオフには素直に応じているようなので、法律に則った会社運営をしています。
ただし、やり方としてはあまりスマートでは無いと思っています。
勿論、作品の質に納得して満足している顧客も居ると思います。
しかし、これだけあちこちでアレコレ言われているのを見ると、やはり営業トークに乗せられて、納得のいかない買い物となってしまった顧客も多く存在するかと思います。
またクーリングオフ制度の活用がうまく出来ない人など、多くの情報弱者が泣き寝入りしているかと思います。
まぁ結局の所、法律は人を守ってくれません。
法律は知っている人しか守らないんですよね。
こういった絵画展示販売会に行く人に伝えたいこと
品質の良し悪しはさておきとして、自分の感情に素直になることが大事と思います。
所詮、物の価値なんて言うものは人それぞれなんです。
必至に買わない理由を理論付けて話しても、相手(営業マン)はその道のプロなので論破されて終わるだけです。
そもそも数字や理屈で説明できるものではないので、理論的に説明できるものでは無いのです。
ここで買わなかったら胸に何かチクリと来る・・・とか言う理由で買う必要は全くありません。
なので、自分が出せる額とその商品の額が一致した時にだけ買うので良いと思います。
ただ、ローンを進めてくる営業マンに言葉には耳を傾けない方が良いと思います。
芸術品とは金銭的に余裕がある人が買うものであり、身の丈に合わない買い物は生きるための優先順位が間違っていると思います。
勿論、生きるための原動力になるぐらい価値を見出している場合はこの限りでは無いですが、基本はお金の余裕のある範囲内で芸術を楽しむのが、正しい芸術品との付き合い方だと思います。
こういう絵画展に関わる絵師さんに伝えたいこと
イラストレーターと言うお仕事は水物で、サラリーマンのように安定した職業ではないことは重々承知しています。
保障もなく、何かあった時の補償もなく、またいつまでも自身の腕に対して評価してくれる人がいるとも限らないので、稼げる時に稼がないといけないのも事実です。
どういうビジネスモデルで稼ぐかは人それぞれだと思います。
今回のように高額な版画を売るビジネスモデルで戦うのも、一つの選択肢としては良いかと思います。
(実際芸術家はこういう形で生きていく人が多数いますので)
ただ、今はビジネスモデルは多岐に渡っていて、例えばCi-enのように絵師に定額のお金を払う仕組みだったり、絵師自らが戦う術は多く提供されていると思います。
リスクとリターンを時々立ち止まって考えてみるのも良いかなと私は思いました。
如何でしたでしょうか。
ちょっと攻めた記事だったかもしれませんが、本記事は特定のどこかを叩くわけではなく、あくまで実体験に基づく「事実ベース」で語らせてもらいました。
なので、本記事を通してどのように解釈するかは読者の皆様にお任せしたいと思います。
今回の記事は「萌え」がテーマじゃないじゃん!って思われた方も居ると思いますが、実際Noteの方に書くかどうかちょっと悩んだんですよね。
ただ、今回伝えたい先が「萌え」に興味ある人に届けたかったので、こちらのブログの記事に書かせてもらいました。
それにして、セールスの人の言葉で印象だった言葉がありました。
「買う人は皆、衝動買いで買っています!」
でしょうね!
ご清覧ありがとうございました。